2021年・公立高校入試・英語過去問の所感と、来春の対策:その③(長文読解・続編)

みなさま

前回、前々回の解説はいかがだったでしょうか?

リスニング、センテンス補充については難易度はそれほど高くはないものの、やはり第三問、第四問の長文読解では一気に難易度が上がります。

その中で鍵になるのは(自由)英作文でしょう。ソリッドな文法知識は言うまでもないことですが、「あなたならどのように答えるか」と登場人物の立場に立たせて考えたり、オープン・エンドクエスチョンに対して自分の意見をしっかりと書かせる、といった形式の出題が目立つことです。

ですから、公立入試の英作文対策としては日頃から英文に書き慣れておくこと、最も良い練習方法は英語での日記でしょう。まとまった内容の英文を日頃から書いておくことで、比較的長い英作文への抵抗意識が減らせますし、また何よりも「自分の頭で考えて書く」と言う行為を習慣化することができます。

英作文は一朝一夕に実力が着くわけではないので、毎日このように地道な積み重ねを継続していきましょう。

さて今回は残った第四問の解説です!

 

第四問:長文読解(資料読解)

第四問も第三問と同じく長文読解ですが、会話文ではなく与えられた資料に他する説明文となります。資料読解と聞くと難しく感じがちですが、基本は単語・文法問題・空欄補充問題がメインですので、基礎をしっかりとおさえておきましょう。

また2021年の出題として目立つのは問六の自由英作文です。「4文以上のまとまった英文で」という指示に従う必要があり、その4文をどのように組み立てていくのか、を緻密に検討していかなければならないという点で難問です。またこの問六は第三問の英作文と同様オープンエンド・クエスチョンですから、自分の主張もしっかりと盛り込む必要があります。

以下では具体的にみていきましょう。

問一:空欄補充(前置詞)

空欄に入る正しい前置詞の組み合わせを選ばせる出題です。具体的にみていくと、

あ:…after I put a small piece of it (あ) my mouth.

 ⇨問題文のこの箇所と選択肢から、”put〜on”(上に)もしくは”put〜into”(中に)のどちらかであろうと推測できます。「口の中に入れる」が正しいですから、”into”が候補です。

い:…if you think the person you are talking (い) will not understand it.

 ⇨問題文のこの箇所と選択肢から、”person you’re talking about”(あなたが話題にしている人)もしくは”person you’re talking to”(あなたが話しかけている人)のどちらかであろうと推測できます。ここでは後者の「あなたが話しかけている人が理解しないのであれば〜」という内容が正しいですから、”into”が候補です。

従って、この組み合わせを満たしているのは選択肢”イ”となります。

問二:空欄補充(英作文)

センテンス補充型の英作文ですが、それほど難しくはありません。空欄(1)の直前までの流れを見てみると、

…She said, “What do you mean? I don’t know the first word you said.” I answered (1)

 ⇨ここでは”the first word”(最初に言った言葉)を祖母(”she”)が理解できなかった、とありそれに対する解答(解説)が空欄(1)だということがわかるかと思います。

では祖母が理解できなかった”the first word”は何だったか、と言えば主人公のセリフ”Gachi-de umai“(ガチでうまい)であることが分かります。この内容を英文4語以上で説明すれば解答になります。

問三:空欄補充(資料読解)

問三は何気ない空欄補充問題のように思われますが、資料読解をベースに解かなくてはいけません。まず空欄部のセンテンスを見ていくと

(ア)young people(イ)the word “gachi“(ウ)elderly people.

とあり、「何かの統計データについての若者と年配者との比較」を論じていることがわかります。その統計データは、この空欄部のセンテンスを含むパラグラフの最初の方に”I searched the Internet and found Graph.1.”とあります。ですから、与えられた資料Graph.1を読み解いていきましょう。

Graph.1は「ガチ」という言葉についての調査結果をまとめたもので、「全く聞いたことがない」「聞いたことはあるが使ったことがない」「使ったことがある」という3回答結果を年代別にまとめています。ですから、解答の軸は「聞いたことがあるかないか」「使ったことがあるかないか」に集約されることがわかりますね。

空欄部直前の文章は”about 30% of people 〜 that they have not heard of it.”と「聞いたことがあるかないか」についてのテーマに触れていますから、後半部となる空欄部は「使ったことがあるかないか」に関する内容だろうと想像がつきます。ですから(イ)には”use”が当てはまります。

ここがわかれば、若者が「ガチ」という言葉の使用について、年配の方と比べて多いのか、少ないのかを空欄(ア)(ウ)では解答すれば良いことがわかります。ですから文章全体としては、

more“(ア) young people “use“(イ) the word gachi “than(ウ) elderly people.

問四:文章整序問題

問4は与えられた選択肢を正しい順番に並べ替えるものです。これは非常に良問で、パラグラフリーディングの基礎が問われている出題でもあります。

以前に第二問の英作文でも書き方を少しレクチャーしましたが、英文というのは基本的に「論(テーマ)の主張⇨具体例⇨結論(結び)」という書き方が一般的です。ここでも全く同様で、

論(テーマ) ⇨ 選択肢”ウ”が候補

 【理由】Today many people〜という書き出しが「一般論」や「話題提起」をしている書かれ方だな、と想像がつく

具体例 ⇨ 選択肢”ア、エ”が候補

 【理由】ア:冒頭”For example”より「具体例」であることがわかる

  エ:冒頭”Also,”より「何かと並列で論じられている」、つまり「もう一つの具体例」だとわかる

結論(結び) ⇨ 選択肢”イ”が候補

 【理由】イ:冒頭”For these reasons,”より「結論部」であることがわかる

以上より、正しい順序は”ウ⇨ア⇨エ⇨イ”であることがわかります。

このように選択肢の冒頭の表現(=ディスコースマーカー)を見ただけで解答できるのが、パラグラフリーディングの特徴です。詳しくは高校英語の範囲になりますが、詳細を詳しく知りたい方は当塾までお問い合わせください

問五:空欄補充

(A):…more chances to read or (A) various expressions.

 ⇨「多様な表現を読んだり(A)したりする機会がより多く」という意味内容ですから、“read”と並列になりそうな動詞は選択肢から考えると”オ:hear”であると分かります。

(B):So, it has become more (B) for us to accept expressions we do not usually use.

 ⇨「普段使わない表現を受け入れることがより(B)になった」という内容です。本文の内容を踏まえると(B)は「簡単になった」「容易になった」と言ったニュアンスとなることがわかり、選択肢”エ:easier”であるとわかります。

(C):went (C)とあることから、表現上選択肢は”ウ:down”もしくは”カ:up”のいずれかであることがわかります。対応する主語は”…the number of people who don’t think Japanese people use their language correctly”(日本語を正しく使えていないと考える日本人の数)ですから、本文の内容を踏まえれば選択肢”カ:up”が正しいことが分かります。

問六:空欄補充+自由英作文

問題文前半の(a)(b)を選択肢からの空欄補充、そして(c)を自由英作文によって記述させる問題で、第四問のハイライトとなる問題です。

ここでのポイントは、この問題には実は複数の回答が考えられるということです。実際、「日本語の使い方が酷くなっているか?」という問いかけに対して、選択肢をみる限りYes、No両方の回答が可能です。そしてあなたが選択した(a)(b)の内容を裏付けるような英作文を書きなさい、というのが解答を考えるにあたっての具体的な流れです。

つまり「正しい選択肢が選べているか」ではなく「論理的に整合する内容として解答できているか」という論理性、そして自分の言葉できちんと表現できているかどうか、ということが問われています。大学入学共通試験でも同様に「問題文を手がかりとして自分で考える」「自分の意見を展開する」という能力を試される出題だと言えます。

この手の出題に対する対策というのは、実は「学校の教科書の演習問題・グループワーク」を日頃からいかに主体的に取り組めているか、というところも見られている問題だとも言えます。当塾も”New Crown”を中学英語の教材として採用していますが、教科書レベルにもかかわらず非常に密度が濃いというのが率直な感想です。特に問題演習などは、本気で取り組もうとすれば高校英語でも十分通用するほどしっかり作られており、その中には本文のように「自分の意見を発表し合ってみよう」「なぜあなたはそう考えるのか」といった、根本を考えさせるものが多いことに気づきます。

そうした日頃の授業への取り組み、態度などがこうした出題ではモロに現れてしまうという点でも、こうした出題は「公立」の入試問題としてよくできているな〜と感心します。

やはり公立高校対策というのは「日頃の心がけ」もとても重要だなというのを痛感します笑

 

総括:

国公立や一部の上位私立校に見られるような「難問」「奇問」の類は見られない分、オーソドックスな問ばかりなので「取りこぼさない英語力」が問われます。そのため、難しい問題を解きまくるよりも、基礎~中級程度の問題集を確実に100%正解できるような訓練のほうが身になるかなと思います。あとは時間が結構シビアなので、タイムマネジメントも意識しながら解いてみて下さい(問題文自体の難易度、というよりもタイムマネジメントの難易度がむしろ高い)

英作文ですが、ここで細かいテクニック的なことを色々書いてはいますが、やはり普段から英文を書きなれていることがとても大切です。数行でもいいので日々の日記を英語でつけてみたり、それをALTの先生に添削してもらったり、色々工夫して取り組んで見て下さい。

リスニングも同様に、普段から英語を聞きなれていることが、試験当日の自信や安心感につながります。今はオンラインでリスニング教材は山ほどありますので、興味のあるものを利用すればよいかと思います。

最後に、近年の傾向として外せないのが「自分で考えて、自分の論を展開する」という形式の出題です。第四問のようにオープン・エンドクエスチョンに対応できるよう、日頃から授業内での演習問題・グループワーク等に積極的に取り組むようにしてください。なぜなら「思考力」というのは一朝一夕には身につかないからです。将来の大学入学共通試験でも今以上に問われてくるテーマですから、今のうちから考える習慣をつけておくにこしたことはありません。

 

3回シリーズに渡ってお送りしてきた公立高校入試英語の解説は以上となります。