【連載】「中高オール学年一位」の秘訣 ~『東大式3ステップ』 その二~

皆様

いかがお過ごしでしょうか。

本日は『東大式3ステップ』の後半パートの解説です。早速見て行きましょう!まず最初は「メタ認知から戦略を構築する3ステップ」(320頁)です。

最初のステップは「『できること』と『できないこと』の境界線に立つ」についてご紹介。

これは具体的には「『自分にできること』と『できないこと』の境界線の上に立って、あがいてみる」(320頁)と解説されていますが、皆さんもおそらく実感があるのではないでしょうか?

私も近所の陸上グラウンドで陸上部の練習を見学したりするのですが、よく「最後まで駆け抜けろ!」「途中で力抜くな!」と生徒たちは怒られています。「限界プラスアルファ」の目標を設定することで、自分の限界をどんどん上げて行こう、というものです。

簡単にいうとそれの勉強版だと思ってください。とは言っても、何もがみがみと怒鳴りつけることをするわけではありません(笑)

手を抜いても手に入る目標や結果というのは、人間を成長させない。なぜなら限界値が全く上がらないからです。ですが、「あと一歩頑張れば達成できる目標」なら、少し頑張ってみようという気になりませんか?その「あとちょっと」のところを常に目指すようなトレーニングをすれば、自ずと限界が上がって行く、というものです。

アスリートがよく「追い込む」なんて言葉がまさに当てはまりますね。「もうこれ以上は無理だ」と疲労困憊した状態から、さらに強度の高いトレーニングを行う。マラソンの長距離練習なんかでも、例えば30kmロング走が終わった後に5,000mのスピード練習をする、なんていう「自分に鞭を入れる」ことで自分の限界出力を上げて行こうというものです。

アスリートの練習レベルは、通常の人間が行うとおそらく本当に倒れてしまう練習なので真似をすることはお勧めしませんが、勉強であれば倒れてしまうことはないので、この「限界すれすれであがく」という学習は積極的に取り入れましょう。

合格判定が今E判定なら、いきなりA判定やB判定は無理でもC、D判定を目指して「とりあえず現状以上を目指す」という姿勢だったり、赤点をとってしまった科目なら「とりあえず赤点脱出」という目標を掲げてもいい。

ただ、今までの議論で見てきたように、やみくもに出力を上げてあがく、というのはあまり効率のいい話ではありません。

この目標を、以前の投稿で述べた「行動目標」「数値目標」「二重目標」のフレームワークにうまく落とし込めば、モチベーションの上がる立派な目標が立てられそうです

ですが自分の限界がどこなのか、を自分で客観的に把握している方というのはごくごく少数でしょう。ですから、スポーツと同じでやはり指導者に伴走してもらって「次はここまで狙おう」という目標設定をしていくことが重要かと思います。

次のステップは「『できないこと』を解決する仕組み・テクノロジーを探す」(322頁)についてご紹介。

そう、また出てきました。「仕組み・テクノロジー」の話です(笑)

本書ではしばしば「仕組み」や「テクノロジー」がキーワード的に語られます。そしてもう皆様ならお気づきのことかと思いますが、この「仕組み」がとても重要になってきます。

ポイントは「自分ひとりで考えるな、悩むな!」「他人のアイディアを積極的に借りろ!」ということです

私もエンジニアだったので、「テクノロジーによる仕組化」というのは良くも悪くも人間の行動をかなり規定する要因になるなと思っています。

受験も同じで、要は「モノに頼る」ということです。

「モノに頼る」という表現をしてしまうと、なんだか「サボる」「楽をする」というようにとらえられがちですが、筆者も述べているように「自分一人では『できないこと』でも、道具を使ったり、誰かの手を借りたりして、『できる』ようにしていることなんて、僕らの生活にザラにあるのです」(324頁)と述べています。

現代の生活そのものがまさにそうですね。先人の発明、開発したテクノロジーの延長線上に我々の生活は成り立っています。

だからそもそも「自分ひとりで」何かをするというのは、実はその大半が(すべてが)過去の誰かの知恵、発明、技術をただ活用しただけでしかない。

よく言われる例えが「巨人の肩の上に乗った小人」という表現ですね。「偉大な先人たちの業績や先行研究などを巨人に喩えて、現在の学術研究の新たな知見や視座、学問の進展といったものもそれらの積み重ねの上に構築され、新しい知の地平線が開かれることを端的に示した言葉」(※1)と説明されます。

テクノロジーと難しく考えなくても、この「仕組化」というのは日常でもよく行われていることです。本書では「朝起きるのが苦手な人が、目覚まし時計や家族の協力を得て朝起きられるようにする」「自宅でモチベーションが上がらない学生が、自習室に行って学習がはかどるようになる」といったものです。

その延長線上で言えば「塾通いをする」なんて言うのも、もっとも分かりやすい「学習習慣の仕組化」ですね。勉強習慣のない子が、「塾に通う」という習慣を通じて「机に向かう」「ノートや教科書を開く」という習慣を次第に身につけていく。これも立派な「仕組化」ですね。

単語を覚えたいのであれば暗記アプリ、リスニングやスピーキングの練習をしたいのであればそれ専用のアプリが(内容や質はさておき)いくらでも見つかります(※学校やご家庭でスマートフォンを禁止にされている方針の親御様もいらっしゃるでしょうから、何もスマホを持っていなくてはいけないということは全くありません)

そしてこうしたアプリ利用や仕組化をなぜ本書が推奨するのか、それは「アップデート力」(329頁)、「新しいモノ、面白そうなモノはどんどん取り組め!なんでも試してみる癖をつけろ」(332頁)と『ドラゴン桜』のワンシーンを紹介しています。

どういうことでしょうか?

「東大初ベンチャー」のニュースをたまに聞くことがあると思いますが、やはり東大生や賢い人間は「新しもの好き」、「好奇心が人一倍強い」という印象が私はあります。一見珍奇なものでも「何かに使えるかもしれない」「とりあえず試してみよう」と思って取り入れる。そうした人達が東大には数多く在籍しているから、学内ベンチャーも立ち上げやすいのかなと昔から思っています。

そしてこの「好奇心」「新しもの好き」というのは、単にその人の性格の問題にとどまりません。

何が良いか、というと「常に世の常識に対して新しい見方ができる」、もっと言ってしまうと「いつまでも若々しい」ということが言えます。

逆に言うと、少し失礼な言い方になりますが、老人を老人たらしめている最たるものは「世間の最新の常識をだんだんと受け入れなくなる」ということ、つまり世間に対する「好奇心」を失っていくからではないかな、と最近思うことがしばしばあります。

最近はアクティブシニアの方が増えて、自分がサラリーマン時代にできなかったことにどんどんチャレンジしようという方が非常に多いですね。「健康寿命」を伸ばす意味でもこうした取り組みは非常によいとされ、そのベースとなっているのが「好奇心」です。

もし、仮に「高学歴者の方が平均寿命が長い」なんて言う統計データがあるとすれば、この「好奇心」「新しもの好き」が新たな角度から注目されるかもしれませんね。

最後のステップは「『今の自分』に適した仕組み・テクノロジーを特定する」(333頁)についてご紹介。

これは非常に簡単で、「自分に合ったツール・仕組みを使いましょう」ということです。

先ほども申し上げたように、スマホが全て、ではなくて自習室勉強・塾通いだったりアナログな手段でも「仕組化」は十分に達成可能です。あくまでも個人や家庭の事情に合わせた無理のないツールを使いましょう、というのが趣旨です。

世の風潮からすると「デジタル化」の流れというのは政府が先鞭をつけて推進しているので、国民一人一人がスマホとパソコンを保有して、活用できるようにならないといけないの!?と焦る方もいらっしゃるかもしれません。またそもそも学生にはスマホやパソコンは、私は必ずしも必要とは考えていません。

ですから、アナログでもぜんぜんOK。むしろ「お金をかけずにどうやるか?」を考える思考力の育成にもなってよいのではないでしょうか?

 

今回は以上です。次回はいよいよ最終回!「テクノロジーを活用するための3つのテクニック」(334頁~)を解説していきます。

 

※1:https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000151707