【連載】「中高オール学年一位」の秘訣 ~『東大式3ステップ』 その一~

皆様

いかがお過ごしでしょうか。

前回の投稿では「プラス思考&マイナス思考」の両側面にフォーカスを当ててお話をしました。今回はついに本書最終章の「『やりたくないこと』ができるようになる『東大式3ステップ』」(297頁~)の解説です!

前章までは「目標」「マインド」といった、割と抽象的なお話がメインでしたが、本章ではいよいよ「戦略性」の重要性が紹介されています。

「戦略性」とは「テクニック」とも言換えられるでしょう。よくある大手予備校の「XXX(講師名)の現代文」「東大式XXX攻略法」と銘打ったものですね(まさに本章のタイトルもその一つ)

受験勉強だけでなく、コンサルティングなどでもよく言われる「戦略」「ストラテジー」、なんだかクールでカッコいいイメージがありますね。そしてこれを実践すれば、誰でも成功できるような、再現性を期待できるようなものを「戦略」ととらえるのが一般的かなと思います。

本書では、もちろんそうしたイメージの「戦略」も認めつつ、実際には「・・・もっと泥臭いというか、ちょっとクレイジーなところがあるように感じます」(300頁)、「びっくりするような努力のアプローチ」(301頁)、「奇跡ではないけれども、普通ではない」(302頁)と紹介されています。

そう、私も「戦略」というとどちらかと言えば前者を想像しており、それがゆえに「テクニックには頼りたくない」との思いで宅浪受験を決めたわけです。

当時の私のそうした「戦略」の解釈はさておき、結果としてそれは本書が紹介するような本当の意味での「戦略」だったと気づかされました。

これは受験勉強だけではなく、私が大学院受験をした時も、そして進学後に学内交換留学の選抜試験のための準備をした時も、準備の心構えは同じでした。

それは「誰よりも多く学習すること」

浪人時代は、それこそ食事の時間を除き、自宅で朝起きた瞬間から夜寝るまでとにかく机に向かって学習していました。私はZ会の通信講座を利用していたので、とにかくZ会の問題を解きまくっては郵送していましたね(笑)

大学院受験の時も、バイトが終わってから片道1時間かけて大学の図書館に通い、閉館の22時までずっと勉強をしていました。英語の勉強なんか、図書館の棚にある”Foreign Affairs”をひたすら日本語訳する、という学習を行い、棚にある過去10年分くらいの論文は全て和訳した記憶があります。

そして交換留学の選抜試験も、今までと全く同じでした。「留学準備がしたい」と夏・冬と2回短期語学留学をさせてもらい、ヨーロッパ基準の当時の最高水準であるC1を取得。まさに「こんなこと、俺しかしていないよね?」と自慢できるくらいの学習や資格取得を達成してきました。

そうしたことが一気に脳裏を駆け巡り、あらためて私の「戦略」とは、決してスマートさはないけれども他の誰にも負けないくらい「必死で」「忍耐強く」打ち込んだ、ということくらいでしょうか。

私は要領のいい人間ではありません。ですが、こうしたことも「戦略」と解釈できるのであれば、私は私なりの「戦略」で受験や様々な試練を越えることができた、と自負したいと思います。

私のこうした体験は極端だとしても、例えば「使い切った学習ノート」だったり「ボロボロになった単語帳」だったり、「マーカーで色とりどりになった問題集」だったりを試験会場に持っていったりしますよね?私もしましたが「思い出の品」を携行することで、自分が今までやってきたことを自分自身に言い聞かせ、自身を奮い立たせること。これも立派な「戦略」だと思います。

「合格」というゴールは皆同じだけれども、そこに至る「戦略」というのは何も紋切り型の、万人に有効なものがあるというわけではなく、あくまで各自が築き上げてきた経験則のその延長線上に出来上がっていくものだと思います。

あまり大人や周囲のライバルに惑わされず、我が道を貫く、というのも立派な戦略なのです。

次の話はより「戦略」的な話になります(笑)

それは「東大受験とは『ボクシング』ではなく『路上の喧嘩』」(306頁)です。

何じゃそりゃ!?と思われませんでしたか?

私は東大受験について、当時こんなことを考えたことすらありませんでした。ですが今になってみると、この文章を読んで直感的にピンときました。思わずニヤッとしてしまいましたね(笑)

その本質は「東大受験は、なんでもあり」ということです。

中学校の英語の教師が良く私たちに、とある年の東大数学の問題の話をしてくれていました。

先生はこのストーリーがいたくお気に入りだったらしく、何回も話してくれたので覚えてしまったのですが(笑)こんな内容です。

「東大入試では与えられる解答用紙が全部白紙なんだ。そしてはさみの持ち込みが可能。どういうことかわかるかい?ある年の数学の問題で、『正八面体に真上から光を当てた時、投影される影の面積が最大になる時のその面積を求めよ』という問題が出題されたんだ。」

そしてここからが本題

「合格した受験生は何をしたと思う?問題用紙の余白の一部を切り取ってその場で正八面体を実際に作って、教室の明かりに照らして実際に面積が最大になるのがどういう条件なのか、を試験会場で実際に試したんだ。」

というものです。

子供心にもその時は「そんなクレイジーな問題が出されるわけないだろ」と心ひそかに思っていました。

幸か不幸か、私の受験年には余白を切り取って正八面体を作らなければ分からない問題というのは出題されませんでしたが、その本質は「あらゆる知識、道具を総動員して回答に臨め」ということ。これはまさに「どんな手段を使っても勝てばいい」ストリートファイトに似たところがあります(笑)

そう、だからこそ本書でも東大入試は「路上の喧嘩」だ、というのです。こうしたことは東大入試特有のものか?と思いきや、社会人になってからもこうしたこと(考え方)は活きてきます。

こんな例もご紹介しましょう。

私は税理士試験を目指して勉強を続けていますが、笑ってしまったのは予備校が「試験委員対策」講座を開いていたこと。

問題作成を行う試験委員のキャリア、専門分野を徹底分析してその年の出題分野を予想し、そこにフォーカスを当てた対策講座を行おうとするものです。

最初は「究極の山張り」と一笑に付していましたが、士業系の資格試験というのはそれこそ学習範囲が膨大で、とても一から十までを覚えきれるはずがありません。ですから「試験委員は自分の専門外の分野を出題することなどないだろう。だからその委員のキャリアや得意分野を分析すれば、おおよその問題の傾向がつかめる」というのはよく考えたものだなと思います。

予備校でも「5年連続的中」なんて言うのをうたい文句にしている講座や講師がいますね。おそらくあれは賄賂をもらっているから、ではなくて(笑)その大学の試験委員(大学教授)がどういうローテーションで問題を作成するのかを知り尽くしていて、教授の専門分野に即した分野をピンポイントで予想することが可能なのだと思います。

さらに言ってしまうと、大学教授というのは自分の専門分野以外のことは全く興味を持たない人種(笑)ですから、自分の専門分野以外の出題を出す可能性は極めて低いと言えます。大学教授のそうした特徴をうまく活かした受験対策でもあるな、と思います。

この「路上の喧嘩」という発想、私にはありませんでした。「ただひたすらに、真面目に勉強する」ことだけが合格の手段だと信じ切って勉強していました。

もちろん、私の要領が悪くそれは実を結ばなかったわけですが、「正攻法だけが受験じゃないよ」「目標は合格すること」というある意味での「割り切り」というか「発想の転換」ができなかった。本書でも「『東大に受かる』だけが目的と割り切れば、確かにそれもアリなのでしょう」(310頁)と述べています。

「性格が悪い人は成功できない」と連載の最初の方でもご紹介していますが、まさに「最短ルートで合格できる方法」といった合理的なメソッドがあるにも関わらず、素直にそれを受け入れようとせず頑として我流にこだわった。最終的に受け入れるか否か、の判断は当人にあるとしても、まずそれを試してみようとする、少なくとも話を聞くくらいはすべきでした。私の敗因はそうした「頑固さ」にあるのではないかなと今では思っています

これは長年の勉強習慣、というか勉強そのものに対する考え方にも大きく縛られてしまうものです。どうしても「真面目に」「自分の力だけで」乗り越えるもの、というのが勉強に対するイメージとして刷り込まれてしまっているように思います(私ももちろんそうでした)。

ですが、ここで発想を大胆に変える必要があるのもまた事実。改めて「あなたの目標は何ですか?」と問い直す必要があるわけです。

もちろん、当塾の指導は「受験のその先」を見据えた「夢・実現指導」を行っていますから、必ずしも「XXX大学合格」が最終ゴールではありません。しかしながらその夢を実現する人生の1ステージとして受験、および大学合格というのは明確な目標になりますし、「短期目標」「中長期目標」という二つのレンジの目標を考えた際に、「短期目標」の達成が「中長期目標」へとつながることは言うまでもありません。

 

そしてこのメソッドが重要な点として「頑張らないこと」も同時に挙げています。

受験勉強を「頑張らない」とはどういうことか?決してそれは「楽をする」とか「サボる」とか、そういうわけではありません。

先ほどご紹介したテクニックは、ややもすればそういうものとしてとらえられかねません。しかし事の本質は、ここでもやはり「メタ認知能力」にあると言えます。

以前にご紹介した「型の重視」(153頁)の話にも通じるところがありますが、やはり「成功の型」「合格の型」というのがある。それを徹底的に真似していけば、自ずと自分も「成功できる人」「合格できる人」になっていく、というのがその言わんとするところです。

誰もが知っているように、受験勉強というのはとにかく長期戦。一回の模試で良い点数を取った、A判定をもらったとしても、試験当日に試験会場に無事に着席できていることが何より重要。以前の投稿でもお伝えした通りです。

体力的なことももちろんそうですが、「試験当日までモチベーションを維持し続けること」が重要。そのためには「頑張らない」勉強法、つまり試験当日まで確実に気持ち、体力を維持し続けられるやり方でやることが大切だ、というのです。

一方では異常なまでに「頑張れ!」と励ましつつ、他方では「そんなに硬くなるな」と励ます。いったいどちらが正しいのか!?と混乱することも本書ではしばしばありますが、結論は「どちらも大切」。前回までの投稿でも述べさせていただいた通り「プラス思考/マイナス思考どちらも大切」という考え方にも通じますね。重要なのは「バランス」、そして「いかに試験当日に、試験会場にきちんと着席しているか」そして「合格するか」を考えるための方法論と考えましょう。

 

次回は本章後半の「メタ認知から戦略を構築する3ステップ」(320頁)の解説に移りたいと思います。