【連載】「中高オール学年一位」の秘訣 ~マイナス思考とプラス思考へ その四~

皆様

いかがお過ごしでしょうか?

この「マイナス・プラス思考」の話も本日で完了します!長らくお付き合いいただきありがとうございます。

本日のテーマは「プラス思考からマイナス思考に切り替える2つのテクニック」(261頁)です。

今日は三つではないんですね、なぜだか二つ(笑)

一つ目のテクニックは「勉強している人を見て、勉強しようと思う」(261頁)というものです。これは要は「同じような目標を持つ人間たちの輪に入り、自らのモチベーションを高める」というものです。

これもなかなか分かりやすいテクニックかなと思います。

勉強でもスポーツでもよく「切磋琢磨する」なんて言いますね。目標を同じくする集団の中にいれば、自分が理想とする(目指したいと思う)人間が必ず現れるでしょう。そういった人間を目指して、もしくは自分と同じくらいの実力の人間と競り合いながら「負けたくない」と思って必死に頑張ることで、自分ひとりで頑張るよりも大きな効果を得られる、というもの。

学習塾や予備校で「XXX大学講座」「難関私大英語講座」なんていう志望別、カテゴリー別の講座があるのも、ただ何となく「受験英語」と漠然とうたったクラスにいるよりもより目的意識がはっきりした学生、そして学力も同質性の高い学生が集まりやすい。結果として切磋琢磨が生まれ、よい循環が生まれる、というものです。

スポーツでも同じだと思います。度々マラソンの例を出して恐縮ですが、大学では部活、社会人になったら実業団単位でランナーは活動しますね。もちろん駅伝やトラックのリレーなど集団競技だから、というのものあるのですがそれ以上に高いレベルの人間が切磋琢磨できる環境が整っている。

これも立派な「勉強している人をみて、勉強しようと思う」のスポーツ版だと思います。

また、例えば皆様の中にもInstagramの「勉強アカウント」タグをフォローしている方も多いのではないかと思いますが、リアルのつながりだけでなく今はSNS上でも「勉強している人を見て、勉強しようと思う」というモチベーションを維持することが可能です。これはなかなかうまいやり方だと思います。

ただ、本書では述べていませんが、これにも一つ注意点があります。

それは「勉強しようと思う」、つまりモチベーションアップにはつながるけれども、それで勉強した気になって満足しないでくださいね、ということです。

よく勉強アカウントなんかでも、「私、今日XXX勉強しました!」なんて投稿をアップしてくださる方はたくさんいら者るのですが、勉強アカウントの投稿画像を見て「やらなくちゃ!」と奮い立たされても「でも今日は夜遅いから、また明日」といって寝てしまうようでは意味がない。もしくはその日は物凄く頑張るけれども、結局三日坊主で続かなかった、なんてことになると全く意味がありません。

勉強アカウントはモチベーション維持の方法論でしかありません。結局、根本の「行動目標」「数値目標」「二重目標」の目標設定をしっかりやるべきですし、それがなければ三日坊主に終わってしまいかねない、ということも併せて留意をしておいてください。

そう、何事も「継続する」ということが重要。モチベーションを一時的に上げたとしても、それを続けなければ意味がない。そう考えると勉強も部活も、「継続」「反復」という点では何も変わりないのです

そして根本の目標がしっかり設定できていれば、他人と比較したりせずにぶれずに突き進めると思います。ですからこのテクニックはあくまでも補助的なものと思っていてください。

二つ目のテクニックは「『予言を自己成就』させるSNS活用術」(264頁)というものです。

簡単に言うと「私、東大を目指します!」「合格します!」と宣言をすることが成功率、合格率を挙げる、というものです。

この手の話を聞くと、私はいつも「宗教っぽいな」「胡散臭いな」と思っていました(笑)

ところが私も起業して早一年、理論的には説明できないのですが、他者や世間一般に対して「当塾はXXXを目指します!」「生徒のやる気を引き出します!」なんて言い続けていると、自ずと自分がそちらの方に向かっていく気がしています。

宣言には色々な効果があると言われて言います。

まず宣言には「自分自身を洗脳する」という効果があると言われています。自分の声を自分で聞き続けるわけですから、それこそ無意識のうちに、良くも悪くも体がそっちの方向に向かっていくものです。

それでもまだ嘘くさい、と思ってらっしゃる方は多いと思いますので(笑)こんな例を取り上げましょうか。

皆さんは朝起きてまず何をしますか?

まず多くの方が「テレビをつけてニュースを見る」もしくは「スマートフォンの電源を入れてSNS上でニュースを確認する」ではないでしょうか?

ニュースというのはたいてい、視聴者の耳目を引きやすいようにある意味では過激な内容になっていることがしばしばです。このご時世で言えばコロナのニュース、そうでなくても交通事故、強盗、詐欺、暴行事件、災害関連の被災状況などこれでもかというくらいマイナスの情報ばかりがあふれていると思いませんか?

こうした生活習慣を繰り返していると、だんだんと脳はネガティブな思考になっていく。物事がネガティブに見えていく。

家を出て会社に向かうまでの通勤を、多くのサラリーマンが気が重く感じるのは、私はおそらく「毎朝ニュースを見る」こと、そのことによって本来フレッシュでやる気に満ちているはずの脳にマイナスの情報ばかりを詰め込んでしまうからではないかと思っています。

心当たりのあるかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

ちなみに、私は移住してからというものテレビを手放し、「朝のニュースを確認する」という習慣、そして「テレビを見る」という習慣そのものを断ち切りました。ですが案外と「テレビを見たい」という欲求にさらされることはなく、むしろ余計な情報にさらされることなくスッと仕事に入れるようになりましたね。本当に必要な情報なら、ネット上だったりYoutube動画でいくらでも出ていますから、何の心配もいらないのです。

話を戻しますが、この「予言の自己成就」とはこの「朝のニュース」の逆バージョンを行う、ということです。

例えば毎朝起きたら「今日も東大目指して頑張るぞ!」「医学部目指して、今日も一日張り切ろう」なんて言葉を布団の中でつぶやくだけでもいい(できれば大きな声で、はっきりと自分に言い聞かすように言ってほしいですが)。それが脳に刷り込まれて、やがて自分の行動を変えていくはずです。

漫画なんかでもよく登場人物の部屋に「合格!」「目指せ甲子園!」なんて言う張り紙がしてあるのを見ますよね?古典的でなんだか笑ってしまいますが、その古典的な手法こそが実は一番簡単で、最強なのです

学習机に「XXX大合格!」と書いて貼っておくだけでもいい。毎日必ず見るものですから、自ずと脳にその情報が入ってきます。そして脳が体に指令を出し、自ずと勉強するようになる。

「受験勉強なのに、神頼みか!?」なんて思わないでくださいね。何も神頼みしているわけではなく、「自分に(より正確には自分の脳に)暗示をかけて、自ら動くようにする」という方法だと心得ていてください。

ちなみに、私も今起業塾のセミナーに参加しているのですが、この「宣言や志を紙に書いて部屋に貼る」というのは真っ先に行いました。

最初は私も「本当かな?」「ちょっと宗教っぽくね?」と思っていたのですが、今ではすっかりなじみ、確かに忘れそうになった時にそれを見返すと「やらなくちゃ!」という気になりますね。

そしてポイントは「自筆」で書くこと

例えばWord文章に打ち込んで、それを拡大コピーしてもいいのですが、文字を見た時に何となく「他人感」があるのが否めない。どうしても「自分の意思で(つまり自筆で)書いた」と自分自身が分かることが重要です。

そうすればだれが見ても「俺が、あの時決意して書いたんだ」という意思確認にもなる、だから逃げずにやろう!という気合が一層みなぎってくるものです。

皆さんも騙されたと思って是非試してみて下さい。

そしてこの「予言」の持つもう一つの効果は「敢えてリスクを取ることで、自分自身にプレッシャーをかける」という効果です。

「敢えてリスクを取る」というのは、宣言をすることで自分を「後に引けない状況に追い込む」ということです

例えば「私、冬までにXXXkg痩せます!」と宣言してダイエットを始める方は、絶対周囲の方から「で、今どうなった?」って冬になったら聞かれますよね。そこで「実は・・・」なんてことになるのが恥ずかしいから頑張る。これは立派に「宣言が自己成就する」ケースではないでしょうか?

ダイエットだったり、受験勉強だったり、切迫している目標であればあるほどどんどん「宣言」をして自分を追い込みましょう。そうすることで、自分自身に良いプレッシャーをかけ、自ずとその宣言を達成するように体が動く、というものです。

そして本書ではさらにこの「追い込み」を確実なものとするために、SNSを活用せよ、と紹介しています(272頁)

インスタの勉強アカウントでもツイッターでもなんでもいいと思いますが、「同じ目標を持っている仲間」の輪に加わることで、否が応でも自他を比較してしまうような環境を作ってしまう。そのことで「あいつができて俺にできないなんて・・・悔しい!」とか「なんでこんな奴が俺より点数がいいんだ!・・・俺って何してるんだ!」といった、ある意味では強烈なネガティブ感情(本書や漫画では「怒り」と表現されています)を燃えたぎらせることができ、結果としてそれが勉強や目標達成のための行動を加速させる、というもの。

これは当連載の最初の頃でも紹介されていた「東大を目指すのに理由なんていらない」の中でも少し触れたことではありますが、東大を目指すことの「内発的動機」がこれに近いかな、と思います。

ここで述べた勉強アカウントの活用方法はあくまでも「勉強上での」行動の加速方法です。ですがそもそもの「内部目標」についても、それがネガティブであればあるほど(本書では「飢餓感」と表現)、やはりそれを目指そうという意思が一層ゆるぎないものになる。

ここから明らかなのは、人間が行動を起こす起点、その原点はやはり「飢餓感」「欠乏感」「コンプレックス」といった非常にネガティブな感情や環境にある、と言えると思います

私の場合もまさにそうでしたね。

プロフィールにも書いている通り、私の中学生活は「中学受験に全て落ちた」というショッキングな出来事、そしてそこから「東京の学校から拒絶された」「自分みたいなバカは東京で学んではいけないんだ」なんて言う、どんどんネガティブな思考に陥り、受験後卒業するまでの2か月弱は毎日本当に泣いて過ごしていました。

子供心に、よほど自分が許せなかったのでしょうね。

そして唯一合格できた地元の私立は全寮制の学校で、それこそ全国各地から生徒が集まってくるような学校でした。

ですが、母校の悪口を言うわけではないのですが、東京や神奈川の有名私立に合格する学力がそもそもない、いわゆる「ボンボン」が入学する学校でした。

もちろん東京都出身の人間も多かったため、そこで「東京の人間を見返してやりたい」というスイッチが幸か不幸か入ることになってしまったわけです。

そして振り返れば中高オール学年一位を達成。もちろん勉強自体が好きで頑張ったというのもありますが、原体験にあるものは私の場合も「怒り」「劣等感」でした。

スポーツでも同じだと思います。

マラソン大国のケニア、エチオピアといった国は、ただでさえ経済が貧しく、一握りの富裕層を除き国民のほぼ全員が日常生活すらままならない状況に置かれています。

そんな状況の中で彼らが「走って稼ぐ」ということに対するハングリー精神は、おそらく日本の実業団の比ではない切迫感と飢餓感が背景にあることかと容易に想像できます。

ネガティブな感情に支配されるのは良くないことですが、同時に「こんな状況は嫌だ!」「こんな自分は嫌だ!」「もっと上を目指さなきゃ!」「成功したい!」と飢餓感、渇望感が行動の起点になるというのは、人間であるが故のごくごく当たり前の心象だと思います。我々はロボットではないのですから、自分で自分に命令を与えて自分自身をコントロールできる。それは私達が、外部からの命令を与えられなければ一ミリも動けないロボットと比べて決定的に違っている点ですよね。

「飢餓感」「劣等感」にSNSを活用する、という本書の紹介はなんとも現代的なやり方だな、と思いますが、まあ手段はであるにせよリアルであるにせよ、自分の「飢餓感」「劣等感」に訴えかけてモチベーションを高めるのも、劇薬的な処方だとは思いますが立派なマインドコントロールの一手法だと思いますよ。

そうそう、私の時代はスマホもなく、当然SNSなんてのもなかったですから、本書で紹介されているようなスマホやインターネットをフル活用した受験勉強というのには多少違和感があります。ですがやはり「使えるものは何でも使え」という発想は大事で、自分だけで解決しようとせず「モノに頼る」「他人の力を借りる」という素直さも現代では大切だと思います。

そういう意味では「新しもの好き」というのも、学習には必要なものかもしれません。

ということで、今回はここまで。

次回はいよいよ本書最終章「『やりたくない』ができるようになる『東大式3ステップ』」(297頁~)を開設してきます。