【連載】「中高オール学年一位」の秘訣 ~メタ認知力を高める3つのテクニックとは?~

皆様

いかがお過ごしでしょうか。

最近朝晩がめっきり涼しくなり、寝やすくなって快適になりましたね。

とはいえまだまだ残暑のシーズン、日中は真夏日に逆戻りなんてことも9月はよくありますから、体調管理には気を付けたいものですね。

さあ、前回はか~~なり暗い話になってしまいましたね・・・そして私の恥ずかし側面もかなりさらけ出しました。が、これもメタ認知向上のため、と思い皆さんもどんどん現状認識で「凹んで」みて下さい(笑)

大切なのはそこから「どう変えていくか」を考えるだけですから、逆に気は楽なのです!

本日は前々回の投稿でも告知させていただいたように、本書158頁~の「メタ認知能力を高めて行動に移す3つのテクニック」について解説をしていきたいと思います。

今日の話はかなりテクニカルな話になるので、本書のこの箇所だけ参考にしても、かなり使える(すぐに行動できる)ヒントが詰まっていると思います。

本書でもおさらいされていましたが、目標を立てる3つのステップがあることをおさらいしましょう。それは「数値目標」「状態目標」「状態目標」というのがあるというのはすでにご紹介した通り(158頁)

そしてこれら3つの目標設定を、さらに精度を高くして設定することが必要だと述べられていますが、それにも「3つの条件」があるのです。

3つの条件とは?気になりますね。

まず一つ目のテクニック、それは「3ステップで目標の粒度を下げる」(159頁)です。

「粒度を下げる」という発想、これは学習だけではなく仕事でもよく行われることですよね。

ITコンサルティングの世界でも、以前に紹介したような「ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー」を初めとして様々に課題・問題を細かく要素分解していく作業のことです。

最も有名な経営の格言の一つは、稲森和夫さんの「経営とは売り上げを最大化し、コストを最小化すること」という考え、アレです。「アメーバ経営」でこの考え方は取り入れられていますね。

言われると当たり前のことですが、この「当たり前」を可視化することがなかなか難しい。そこで、第三者のサポートのもと何が「売り上げの最大化」につながり、また「コストの最小化」につながるか、を客観的に可視化することが重要なのです。

「可視化すること」、これは前回ご紹介した「現状認識」とも密接にかかわってきますからとても大切です。

では具体的にどうするか?

本書では先ほど取り上げた「数値目標」「状態目標」「状態目標」の要素分解という方法を紹介しています。

まずはSTEP1として「状態目標の達成に必要な具体的な要素を5個以上、書き出す」(162頁)というもの。

状態目標とは、「こうなりたい!」と思う根本目標ですね。受験生であれば当然「~~大学合格」といったものになるはずです。

しかしこれでは目標の「粒度」が大きすぎるのです。そのため、

「~~大学に合格する」→「英語の偏差値をあと5アップする」

と具体化したとしましょう。では次に

「英語の偏差値をあと5アップする」→①語彙力が弱いので、単語・熟語に力を入れる②長文が苦手なので、長文読解に取り組む③リスニングは得意なので、現状を維持する

といった具合です。

いかがでしょうか?単純化した例ではありますが、「大学合格」という漠然とした目標がかなり具体的な目標に落とし込めた感じがしませんか?

次のSTEP2は、このSTEP1でのブレークダウンがベースとなってさらに発展します。具体的には「状態目標の達成に役立つ行動目標を5個以上、書き出す」(162頁)ということです。

先ほど洗い出された3つの状態目標を、行動目標に落とし込んでいきます。例えば

語彙力が弱いので、単語・熟語に力を入れる → ①授業で習った単語を、単語帳にまとめて毎日見直す②「XXX英単語」を夏休み明けまでに全てマスターする③単語暗記のためのアプリを使う

・長文読解に取り組む → ①毎日ネットの英文記事を読む②パラグラフリーディングの基礎を学ぶ

リスニングは得意なので、現状を維持する → ①NHKラジオ講座で耳を慣らす②教科書のリスニング・パートを毎日聞く③youtubeで海外の好きな動画を英語で聞いてみる

などです。これらは具体的で分かりやすいと思います。「これをしたら成績上がるぞ!」もしくは「これが足りていないから今成績が上がらない!」という要素をどんどん上げます。

これはゲーム感覚でもできますし、自分の願望なんかも交えて「これやってみたらいい?」「前から挑戦したかったあれをやりたい!」なんて言う形で、どんどん挙げていく。それでいいのだと思います。

そして最後のSTEP3、これはSTEP2で挙げた行動目標を具体的な「数値目標」に落とし込む作業です(163頁)

授業で習った単語を、単語帳にまとめて毎日見直す →  授業で習った単語を、その日のうちに単語帳にまとめて毎日30分見直す

・「XXX英単語」を夏休み明けまでに全てマスターする → 「XXX英単語」を1日20個覚えて夏休み明けまでに全てマスターする

・単語暗記のためのアプリを使う → 単語暗記のためのアプリを使い、全単元満点になるまで繰り返す

・毎日ネットの英文記事を読む → 毎日500word程度のネットの英文記事を15分以内で読む

パラグラフリーディングの基礎を学ぶ → パラグラフリーディングの基礎を学ぶため、「XXXX」(参考書)を1日一単元勉強する。

NHKラジオ講座で耳を慣らす → NHKラジオ講座を朝晩10分必ず聞き耳を慣らす

・教科書のリスニング・パートを毎日聞く → 教科書のリスニング・パートを毎日10分聞く

・youtubeで海外の好きな動画を英語で聞いてみる → youtubeで海外の好きな動画を英語で毎日10分聞いてみる

など、です。

かなり具体的になった感じがしませんか?

こうした目標を紙に書いて自室の壁に貼っておけば、毎日見ますしさらに効果てきめんでしょう!よく漫画でも「XXX大学合格!」なんて部屋に貼っているのをご覧になったことがあるのではないでしょうか?

そう、アレです。

私が「やる気引き出し」アドバイザーと名乗っているのは、まずこうした方法論に則って、生徒一人一人が「やるぞ!」という目標を生徒と一緒に考え、作成するというこの方法を重視しているからです。

これは親御様にとっても効果的で、ただ「勉強しなさい」「成績上げなさい」だけではやはり人は動きませんから、「具体的に」どうするか、ということを指示できるわけです。

ちなみに、こうした目標を「紙に書いて部屋に貼っておく」というのは非常に重要です。古典的なようですが、毎日見るものが人間の意識に刷り込まれてきますし、最初はうっとうしいかもしれませんが、不思議なもので次第にやる気が起こってくる。

またこうした目標を紙に書いて貼っておくことで、それが親御様にも目標として見えるわけです。このように当事者の双方が「何をやるか」「その目標は何か」を具体的に理解していれば、「(親)勉強しなさい!」→「(子)やってるよ~、うるさいな!」という不毛なやり取りもなくせるのではないでしょうか?

そして二つ目のテクニック、それは「『得意・不得意×できた・できない』マトリクスで優先順位付け」(164頁)です。

このやり方、私も最初に読んだときに「上手いやり方だな」と思いました。これはかなり戦略的な受験勉強の本質にもつながってくるメソッドだと思います。

結論から申し上げると「得意を伸ばせ!苦手を捨てろ!」というものです。

苦手を克服するために勉強する、というのが普通の発想。しかし時間が限られている中での受験勉強においては、「苦手を克服することに充てる時間よりも、得意を伸ばすことの方がはるかに効率がいい」とする考え方です。

これを皆さんは邪道だと思うでしょうか?それとも賢いやり方と思うでしょうか?

残念な私のパターンで言うと、完全に前者でした。苦手な現代文・古文・数学に必要以上に多く時間を割いて勉強していました。しかし当然なかなか点数が上がらない。

私の勉強方法自体も悪いのですが、これでは時間効率上もかなりパフォーマンスが悪い。それなら得意の英語や世界史に時間をかけたほうが同じ5点アップするのでも効率は大きく変わるでしょう。

そう、結局受験は「点数」なのです。

さらに言ってしまうと、その点数で「勝ち」「負け」がはっきりした一種のゲームなのです。反則意外であれば、どんな手段であっても「勝ち」を取りに行く、というのがゲームのセオリーでしょう

ならば得意な科目をもっと伸ばして点数を挙げたほうが、苦手を克服して点数を挙げるよりもはるかに効率が良く、かつモチベーションが維持できる方法ではないか、というのが本書の主張です。

どうしても「勉強」というのは、繰り返しになってしまいますが「苦手の克服」ということに焦点が当てられがちですが、受験勉強(というか競争)を勝ち抜くためには合理的な思考を持った方が良い、というある意味ではかなりドライな方法論でもあります。

もう一度確認しますが、これは邪道だと思いますか?それとも合理的なやり方だと思いますか?もし前者に賛同いただけるなら、おそらく当塾の指導が当てはまるのではないかと思います。

本書が紹介する『ドラゴン桜』ではどのように紹介されていたか、というと、センター試験問題の各自の解答をベースに「得意×できた」「得意×できなかった」「苦手×できた」「苦手×できなかった」に4分類し、そして「得意×できなかった」ところからまず攻略していく、というやり方です。

えっ、「苦手×できなかった」からじゃないの?と思われた方、そうではないのです

本書や漫画でも解説されていますが「得意×できなかった」は単なる「ケアレスミス」の可能性が高い、つまりその「ケアレスミス」をなくせば簡単に点数は上がるのだから、その努力をすればもっとも早く、確実に点数がアップする、ということを言いたいわけです。

そしてさらに、「苦手×できなかった」は一番最後に後回ししてよい、ということも併せて述べられていました。なぜなら一番時間がかかり、かつ点数が伸びにくいから、というものです。

これが戦略的思考というものです。

なんだか、受験勉強に対する考えが変わる気がしませんか?

そう、それで良いのだと思います。得意を伸ばせばよい、というか得意を伸ばしてく時間しか実際には残されていない、と考えたほうが良いでしょう。そうやって効率よく、モチベーションを維持しつつ勉強することができたら、当時の私はどんなにかよかっただろうと私自身思います。

少々余談ですが、この『得意・不得意×できた・できない』マトリクス、社会人の方なら研修で一度はお聞きになったことがあるかもしれない、あの「ジョハリの窓」の話と全く同じです

念のため「ジョハリの窓」をご紹介すると、

自分自身が見た自己と、他者から見た自己の情報を分析することで次の4つに区分して自己を理解するというものです。

① 自分も他人も知っている自分の性質(開放)
② 自分は気付いていないが他人は知っている性質(盲点)
③ 他人は知らないが自分は知っている性質(秘密)
④ 自分も他人も知らない性質(未知)

と紹介されています(※1)つまり、「自分が認識できていること/いないこと」と「他人が認識できていること/いないこと」とのかけ合わせから、自分自身についての現状認識を行ってみよう、ということです。

ここでも重要とされるのはやはり「② 自分は気付いていないが他人は知っている性質(盲点)」ですね。この盲点が、実は相手、往々にして社内外の方とのコミュニケーション・ギャップを生んでしまう原因ともなるから、真っ先に改善すべき項目だ、と良く紹介されます。

こうしたマトリクスを使って自分の能力を客観的に把握することは、「メタ認知」のとても大切な要素の一つです。

そして三つ目のテクニック、それは「『ToDo』『Doing』『Done』のリストでサクサク実践」(179頁)です。

話は少しそれますが、社会人の方は進捗管理アプリの”Trello”をご存じでしょうか。

このアプリは単にTodo(やるべきこと)/Doing(仕掛中)/Done(済)という大分類が画面にドーンと書かれてあり、各々の項目に自分で付箋(もちろんデジタル付箋です)に一件ずつ付箋を書き足していく、というものです(※2)

まさにこのアプリがやらんとしていることを実践しよう、というのが3つ目のテクニックの肝です。つまり「どのようにして『やるべきこと』をしっかりと実践していくのか、にフォーカスを当て」るための方法論の話です(180頁)。

立派な計画は立てたけれどもそれが三日坊主で終わってしまった、なんて話はよくありますよね?ですから、具体的に「何から着手すべきか(Todo)」を明確にして着手手順や着手する勉強内容そのものを間違えないようにすることが大切です。

本書でも指摘されているように、受験前のストレスというのは「「何をすればよいのか分からない。とりあえず今日は数学をやろうかな・・・」なんていう、ふわっとした感覚で勉強しているから」(180頁)です。私も同感です。

それがこの『ToDo』『Doing』『Done』のリストで、「今から何をすべきか」「どこまで終わっているか」というのが可視化できますから、「何となく勉強」というのがなくなってくるはずです。

そして私はこの「どこまで終わっているか」が見えていることも非常に重要だと思います。私も経験があるのですが、どうしても「もう終わっている」ことも不安で何となく繰り返してしまう。その結果「勉強をやった気」になり、肝心の「Todo」や「Doing」の消化という、優先順位の高い事項に時間が割けていなかったという反省があります。

そしてさらに言うと、こうしたやり方がマスターできていると社会人になってからもとても役立ちます

もともとこのTrelloというアプリ、私はIT業界の中でよくプロジェクト管理の際に用いていました。また同僚や先輩方でも利用されている方が多かったように思います。

理由はすでに述べた理由の通りで、やることが明確化するからです。そして社会人になってからこれが効果的、というのは「無駄な仕事」が減り、結果として「残業時間の削減」にもつながり得るからです。

私が常々「受験勉強は社会人勉強の基礎」だと考えている理由の一つがここにあります

私も長らくそうだったのですが「ダラダラ残業」「何となく残業」というのは、「何となく今日は数学」「何となく今日は英語」といった「何となく勉強」にかなり行動パターンが類似している、と言えます。

少し悪い言い方をしてしまうと、「学生時代の学習パターン/行動パターンが改善しないまま、そのまま社会人になっても繰り返されている」ということなのだと思います。

そしてさらに残酷なことを言うと、「大学入学前までに、つまり18歳前後で人間の行動パターン・能力・基礎学力はほとんど決定されてしまう」という、前回紹介した私のかつての上司の言葉は悔しいかな、あたっていると言えます。

だからこそ、逆に言うと「社会人としての成功パターン」を学生時代に受験を通じて学ぶ、というのはとてもよいチャンスなのです。そしてそれは大学に合格する、しない以前に「社会人としての人間力や基礎学力」を育てるうえで非常に重要なことです。

受験勉強というものをネガティブにとらえようとすればいくらでもできてしまう。そうではなくて、中高6年間の貴重な時間を「社会人としての基礎」もっといってしまえば「社会人として成功するための基礎」を築く時期であり、それを学ぶためのものなのだというとらえ方をすれば、受験勉強に対する考え方がかなり変わってくるはずです。

辛いだけが勉強ではないと当塾は考えています。そう、前回もご紹介したように「勉強とは、生きることだ」という桜木の言葉を借りるまでもなく、本来勉強とは「楽しいもの」「わくわくすること」であってしかるべきだと思います。正しいプロセスと思考方法に則れば、それは誰でも可能だと思っています。

以上が「3つのテクニック」の解説でした~~今日も長くなってしまいましたね(笑)

次回はいよいよ第三章「『マイナス思考』が必要な理由と5つの切り替えテクニック」について解説をしていきます。

 

注釈(※1)https://research.lightworks.co.jp/johari-window

(※2)ご興味のある方は https://trello.com/ja よりご覧ください。