【連載】「中高オール学年一位」の秘訣 ~「内発的動機」と「主体性」その一~

皆様

学習塾Yu代表の小栗です。皆様いかがお過ごしでしょうか。

いよいよパラリンピックが始まりましたね!そしてお子様の夏休みも宿題のラストスパート!毎日大変な(笑)日々を過ごされているかと思います。

私はプロフィールに「中高オール学年一位達成」って書かせていただいています。この文言をご覧になられた方は皆さま一様に「スゴイ!」っていう反応を示してくれます。

その秘訣は何?って昔はよく聞かれることが多かったのですが、当時の私を振り返ってみると、実はあまりよく自分でもわかっていない。とにかく「親から怒られたくない」「先生方から褒めてもらいたい」「中学受験したコンプレックスを跳ね返したい」なんだかそういうモチベーションだけでひたすら突き進んだ6年間だったように思えます。そう、特別なことは実は何もありません。ごくごくフツーの子供でした。

開塾してからというもの、この「中高オール学年一位」を達成することができた秘訣を学生の皆さんにお伝えしたい、そして親御様にもどうやったらそうしたことが可能なのか?を客観的にお伝えすることができれば最高だな、なんて思っていました。

ちなみに私の家庭は裕福でもなんでもありません。特殊な塾に通ったわけでも、「~~式」といった特殊な教育方法を昔から受けていたわけでもありません。塾は近所の普通の学習塾(進学塾でも予備校でもなんでもありません)に小学校5年生から通い始め、それまでは父親が教科書準拠のテキストを買ってきてそれを私に個別指導していました。習い事は一切行っておらず、周りの子よりも習い事デビューはかなり遅い方だと言えます。

そんな私が、です。そう、皆さんにも絶対できるのです!

さて、私が最近読んだ本に『東大メンタル 「ドラゴン桜」に学ぶ やりたくないことでも結果を出す技術』という本があり、この本にすっかり感化されてしまいました。なぜかと言うと、私が「中高オール学年一位」を達成したプロセスと、この本やこの本が紹介している『ドラゴン桜』の登場人物たちの考え方が、私の学生時代のそれとかなりの部分一致していたからです!

この本の各ページページに書かれていることが逐一「確かに自分もそうだった」ということだらけでした。ならば!この本のご紹介を通じて、「私」という人間を一つの事例とした「中高オール学年一位の達成」のメカニズムが皆様にも伝わるかな、と思います。

最初にお話したいテーマは「主体性」「目標設定」「内的/外的動機」についてです。

本書はタイトルからいきなり「やりたくないことでも結果を出す方法」と銘打っています。そう、学生たちにとっての人生で最も「やりたくないこと」は勉強、そして社会人になってから最も「やりたくないこと」は仕事。誰も進んで勉強、仕事をやり多々いと思う人なんていない、これは別に憤ることでも眉をしかめることでもなく、ごくごく当たり前なことです。

ところが、です。

思い出してみて下さい、楽しそうに勉強をしている子、何も言われなくても参考書を開いて、通勤・通学のバスや電車の中でスッと参考書に入っていける人、寝食もわすれて仕事に没頭している社会人、睡眠時間が3~4時間でも楽しそうに仕事をする人、そんな人見たことありませんか?そして「一体どうなっているんだろう、この人たちは?」と思ったり、ちょっとジェラシーを抱いたりしたことありませんか?

今回のテーマは、そういう人たちに共通する「主体性」と「内発的動機」について考えてみたいと思います。

主体性とは本書では「やりたくないことがやれるようになる『主体性』の3ステップ」(34頁)と紹介されています。まあ、これは何となくわかるでしょう。

公教育では「アクティブラーニング」が2021年に導入されました(※1)ただし、紹介されている内容を拝見するに、「教え方」「テクニック」がそのメインにあり、そもそも子供たちが「何で勉強するの?」という、そもそも論と正面から向き合っていないような感じがするのですね・・・

ですがこれは無理もないこと。教師は教師一筋、その道で生計を立ててこられた方が大半です。逆に言ってしまうと、「社会/社会人の入り口」まで子供を導くことはできても、その入り口の先に何が待っているか、その先に何があるのかは彼らは経験したことがないために分からない、よしんば教えられたとしても「キッザニア」のような疑似的な社会人ごっこでしかないと私は考えています。

その先の、ある意味での「修羅場」をくぐり抜けてきた人間だからこそ、そこから逆算して「こういう進路があるよ」「こういうキャリアプランはいいね」と言ってあげることだけでなく、「こういう進路には進むな」「こういう社会人にはなるな」といったことも身をもってお伝えできる、それが学校教育には決してない当塾だけの強みだと思っています。

話を戻すと、勉強の目標っていったい何だろう、そもそも何で勉強するのだろう・・・誰もが人生で一度は考えた(悩んだ)ことがある問いだと思います。子供の頃を振り返ってみると、たいていの方々は「親に怒られたくないから」「先生に怒られたくないから」つまり周囲の大人たちから怒られたくない、という動機が一番強いのではないでしょうか?

例外なく私もまさにそうでした。父親の猛烈なスパルタ教育、毎日飛んでくるげんこつの量をいかにするなくするか(笑)、今から考えると冗談みたいですが当時は本当にそう思っていました。とにかく殴られたくない、少しでも殴られる量を減らしたい、父の機嫌を損ねたくない、そんなことばかり考えていました。

このように自分以外の誰かのため、例えばその人を喜ばせたい、あるいは機嫌を損ねたくない、怒られたくない、といった動機は「外発的動機」と紹介されています。思うに、中学受験に失敗したというコンプレックスがあまりに大きすぎた、そしてスパルタ教育の父親におびえ続けた学生当時の私、ただひたすらに「外発的動機」によって勉強していた学生と言えるでしょう。

残念ながら「外発的動機」によって勉強している学生が世の大半だとおもいます。偉そうな肩書を語っている私ですら、実はこうした学生の一人だったのです。ただその「恐怖の度合い」が人一倍、それどころか二倍も三倍も強かったという、ただそれだけの情けない理由なのです。

ですが、私がただ恐怖心から6年間勉強した、と思いこまないでくださいね(笑)!

「外発的動機」は悪いことばかりではありません。幼稚園や小学生のころから様々な習い事やスクール通いで、子供の様々な可能性を発見させてあげようとすることは、ある意味では子供たちに最初の意識づけをさせるうえでは非常に重要だと言えるでしょう。そうやって子供たちに「何となくこんなことが好き」「何となくこんなことが将来やってみたい」といったことを気づかせてあげるためのきっかけづくりとしてはとても重要です。

ちなみに私も英語が好きになったきっかけは、小学校3,4年生くらいの頃に「何となく」見始めたセサミストリートでした。当時は今風の日本語吹き替えなんてものはなく、まさにガチの「オールイングリッシュ」教材(笑)今から考えると一切日本語なしでひたすら60分英語を聞き続けるのは、それはそれは最初は苦痛でした(笑)

「これからは英語の時代だ。裕介は国際人を目指せ!」なんてある日いきなり言われて、ビッグバードとクッキーモンスターの意味の分からない掛け合いを毎週日曜日にひたすら見せ続けられていました。もう立派な「外発的動機」による英語学習のスタートです(笑)

最初はそれでいいと思います。そして当然最初は嫌がるでしょう。ですが、それだけでは将来大きく成長することができない。この「外発的動機」をいかに主体的に取り組むための動機(『内発的動機』と呼びます。後述)に切り替えていけるか、ということがとても重要になります。

その最初のきっかけが「とりあえずの目標」を設定して行動を起こすこと、だと書かれています(34頁)前置きがかなり長くなってしまいましたが、ここからが主題(笑)

結論から申し上げると、アクションを起こせるような「分かりやすい目標」を設定すること、これが最初のステップです。漫画『ドラゴン桜』では、冒頭でいきなり「お前らは東大を目指せ!」という、あのシーンです。

勉強もしたくない、何もしたくない、将来の夢や目標が特にあるわけでもない、そんな学生たちに「東大を目指す」という、無茶苦茶ですがきわめて分かりやすい(耳目を引きやすい、キャッチーな、わくわくする)目標を設定する。これがまず最初に重要だ、ということです。

余談ですが私が「ドラゴン桜」に非常に共感した理由は、まさに主人公・桜木の「お前らは東大を目指せ!」という言葉、これはほかならぬ私の父が中高の6年間私に言い続けた言葉そのものだったからなんですね

そして考えてみたらわかると思いますが、「目標何?」って聞かれて「東大目指す!」って言われたら、中身はともかく「こいつスゲーなっ!」って間違いなく思われますよね(笑)石川県の学生であれば「金沢大学行きたい!」「富山大学行きたい!」「福井大学行きたい!」「名大、阪大目指したい!」「医学部目指したい!」全然ありだと思います。

重要なことは、漫画の主人公も言っているように「東大に行くのに理由なんかいらない」「東大に行く意味なんてない」(36頁)のです。そう、ここがポイントだと私は思っています。究極のところ、本人の意思や希望なんて、最初は無くていいんです。

え?どういうことかって?

それは東大を目指す「内的な動機付け」に目を向けなさい、ということ。つまり訳も分からず「東大を目指せ」と教師や親によって設定された目標(=外発的動機)を、いかに主体性(=内発的動機)を持って学ぶことができるか、それを「どこで/いかにして」切り替えていくことができるか、が最大の肝であり本書の伝えたいことです。

まず申し上げたように「外発的動機」をポンと与えます。例えば「東大に行け!」でも「金沢大学の医学部を目指せ!」でも何でもよいかと思います。もう志望校が決まっている子ならその志望校、なくても(現時点ではまだない子が大半だと思いますが)その子が「行けたらいいなあ、でも絶対無理」なんて思っている学校を志望校に(強引に)設定してしまってもいいのだと思います。

大事なのはここから。

「外発的動機」によって設定された(ある意味では押し付けられた)目標を「内発的動機」に転換することです。例えば「東大に行って、大金持ちになる」「東大に入って、学生起業する」といった、「東大に入ってXXXする/XXXになる」といった学生自身の目標設定です。

ここでは「東大に行く」という「外発的動機」が、「大金持ちになる」「学生起業する」という「内発的動機」のきっかけになっているということです。こうすることで「大金持ちになる」「学生起業する」という内発的動機の達成手段として、「だったら、東大行っとかなくちゃ無理だよね」という、子供たち一人一人が、半ば強引に設定された外発的動機を受け入れる、受け入れないまでも考え直すきっかけにもなると考えています。

単純な図式化としては「外発的動機→やりたくないこと」「内発的動機→やりたいこと、やれたらいいなあとおもっていること」、この両者を接合することが大切です。そう、まさに本書のタイトル「やりたくないことでも結果を出す」そのものなのです!アクティブラーニングなんていう単語が世に出るはるか前から、漫画の中でこの「内発的動機」の話、すでに触れていたんです!

でもね、

ちょっと言い方は悪いですが「無気力」「無関心」が若者の代名詞みたいになってしまっているこのご時世、果たして「内発的動機」なんてあるのか?見つけられるのか?とお思いかもしれません。

次回はこの「内発的動機をどうやって見つけるか」、そのヒントを一緒に考えていきたいと思います。

 

(※1)「アクティブ・ラーニングとは」https://find-activelearning.com/pub/active-learning#index-1