金沢能楽会(6月)行ってきました!&7月能楽会参加者募集~私が注目する、期待の若手狂言師について~

先日の投稿は、能楽の「間(アイ)」について述べさせていただきましたが、今回は少しソフトなテーマで一つ語りたいかな、と。

能楽も歌舞伎同様、やはりお芝居ですから当然観客を演劇によって魅了するのが最大の目的。そして能楽も歌舞伎も、やはり流派ごとのファミリービジネスですから、ベテランも若手も同じ舞台で演劇を行うわけです。

そうなると当然ながら「親子二代共演」もしくは「親子孫三代共演」も場合によってはあります。今回は舞台が違って親子で演出があり、また能楽「百万」ではなんと太鼓役の方のお子様が子役として出演するという親子共演があり、そういう形での共演もあるんだ、と驚いてしまいました(子役の話は別の機会に譲ることとします)

そんな中私が今年に入ってから注目している若手の能楽師に「炭光太郎」さんという方がいらっしゃいます。この方は、同じく狂言師の「炭哲男」さんのご子息にあたり、なかなか端正な顔立ちをされた方です。肖像権の関係もありますので、「炭光太郎」さんのお名前を画像検索されてみることをお勧めします。

炭光太郎さんはなかなかマルチに役をこなす方、そして諸芸に通じた達者な方だなというもっぱらの印象です。

マルチに、というのは例えば女役もこなせば男性役(主役)をこなしたり、また芸だけでなく舞や浪曲もこなし、先日の「百万」ではアイも務めています。まあ、若手だからこき使われているといえばそれまででしょうが、ただ実力が無ければ引っ張りだこになることもないでしょうから、おそらく相当期待をされている方だなと拝見をしています。

それにしてもこの「炭」という苗字、なかなか独特の苗字だなと当初から思っておりました。その他にも「藪(やぶ)」家など、こちらも有名な家柄ですが普段はなかなかお目にかからない苗字なので、この「炭家」について少し調べてみました。

光太郎さんのプロフィールは「九世野村万蔵師、能村祐丞師に師事。2013年秋に能楽協会に入会」※1とあり、23歳早々にして能楽師として本格的に活動をされいます。別の投稿で見かけたのは「20代での狂言師は30年ぶり」というもの。つまりそれくらい若手の狂言師が少ないということでもあるようです。

そして炭哲男氏は光太郎さんのお父様で、同じく和泉流狂言師としてご活躍をされています。金沢市内で狂言教室もとりおこなっているそうです・・・がネット上での情報はほぼこれが全ての情報。光太郎さんとの情報量に比べると圧倒的に少ないのです。

逆に考えると、いかに光太郎さんが若手狂言師として注目されているか、そしてにもかかわらず若手狂言師が圧倒的に少ないか、という現状も垣間見ることができます。能楽は世界無形文化遺産に登録されていますが、やはり後継者不足は死活問題のようです。

その他にも、私が将来狂言師デビューを期待しているのが「小笠原弘晃」さん。なんとこの方とは、たまたまClubhouse上で知り合ったという何とも奇遇な縁で、知るようになりました。彼はフランス在住でまだ大学生。とあるフランス関連のクラブハウス放送でたまたま彼に質問をした時に、初めて彼が和泉流の狂言師であることを知りました。フランス語も達者で、海外での能楽普及に大きな力を発揮しそうな、大きな期待を私は個人的に持っています。

世界に発信力を持った狂言師の存在、これは今後の能楽界になくてはならない存在といえそうです。個人的にはそうした将来を背負う人たちのための語学指導に携われればなあ、なんて希望的観測で考えています。

※1:引用:『公益財団法人いしかわ県民文化振興基金 石川の文化』https://www.ishikawabunka.jp/gallery/gallery03.html