センター試験過去問の所感と、来春の対策:その④(リスニング)

 最終回となる今回は、お待ちかねリスニングを徹底解剖です!

 2020年から本格的に導入されたリスニングテストですが、2020年のテスト内容だけでは何が傾向なのか、来春以降も同じ内容、構成にて出題されるかどうかは正直なところ何とも分かりません。

 なので現時点ではどのような問題が出ててもしっかりと対応できるよう、リスニングの総合力を高めておくのが敢えての対策と言えば対策でしょうか。当塾がおススメしたい効果的な学習法も最後にご紹介したいと思います。

第一問:選択問題(読上げ文章に対する問い)

 第一問は短文の文章が読み上げられ、それに対する問いと正しい回答を選択するというオーソドックスなものです。問題文のスピード自体は中程度、問題も素直なものばかりで、難易度は中程度で公立高校受験レベルと変わりません。

 敢えての注意点としては、

 ①数字の聞き取り:「13~19(-teen)」と「30~90(-ty)」の発音の的確な聞き分け

 ②会話の途中に出てくる逆説(but, howeverなど)、譲歩(~, thoughなど)表現など、条件が変わったり、追加されたりする表現の聞き取りと内容理解

 くらいでしょうか。しかしながらそんなことを注意するまでもなく簡単ですので、第一問はウォーミングアップ程度に考え、リラックスして臨んでください! 

第二問:選択問題(会話文に続く適切な応答を選ぶ)

 第二問は読上げられた会話文に続く適切な応答を四択で選ばせる問題となります。ここも難易度は中程度で、公立高校受験レベルの問題と変わりません。会話文から丁寧に状況を追っていくことがオーソドックスな回答です。

 会話文特有の表現がバンバン出てくるのかと思ったらそうでもなく、第一問を会話形式にしただけのような内容でした。2020年の出題レベルは会話文対策を特別に行うほどの難易度でもありませんでしたが、会話表現については簡単にでよいのでおさらいをしておいてください。よくあるのが、

 ”How do you~?” → 手段を答える

 ”Why don’t you~?” → 提案に対する「yes / no」を答える

 ”Would you mind~?” → 依頼に対する「yes / no」を答える

 などです。また少し分かりづらいのですが、

 ”Thank you”(等の感謝の表現) → ”you’re welcome”など

 第二問・問9は「Anyway, I really appreciate your help」で終わっています。「ありがとう」と言われたらそこで会話は終わりなんじゃないの!?と一瞬思いますが、「いつでもどうぞ(Anytime)」と続けるのが正しいことが選択肢から分かります。

 覚えていますか?小学校で英語を習ったとき、”Thank you”と言われたら”You’re welcome”と応えるよ、と教わりませんでしたか?そう、”Thank you”で会話が終わりと思ったあなたは、その時の素直な子供の心を忘れてしまっています(笑)お礼をされたら必ず”you’re welcome”と、英語でも日本語でも恥ずかしがらずに言えるよう習慣付けてみて下さい。

第三問パートA:選択問題(会話文読上げと質疑応答)

 第三問パートAも第二問と同じく会話文に対する選択回答ですが、第二問と比べてある程度の長さの長文が読み上げられます。

 ですがここも解法は非常にオーソドックスなもので、「問題文と選択肢から内容を予想して解く」という長文読解と全く同じ解法で対応OKです。問題文や選択肢もひねった内容のものは見当たらず、素直に聞いて素直に解くだけ、難易度も高くはありません。

 第三問で一つ注意が必要なのは「問題文は読上げられない」ことです。そのため、第二問までのように問題文の読み上げを待っていると、5秒後にいきなり”Listen again”の声とともに二回目の読み上げが始まって大変焦ることになります。この点だけ注意してください。

第三問パートB:選択問題(イラスト付き・会話文と質疑応答)

 パートBも会話文に対する質疑応答ですが、パートAと異なるのは「会話を通しで聞くこと」「イラストで条件が与えられている」ことです。会話の内容とイラストで与えられる条件とを総合し、原因や予想される結果などを答えさせる内容のものです。 

 会話内容自体は平易な内容で、問題文もひねくれたものはありません。素直に解くことができます。敢えてで言えば、リーディング第四問・パートBに近いかと思います。与えられた資料から条件を的確に読み取る練習をしておけばリーディング・リスニング問わず対策ができるかと思います。

 またパートBもパートA同様問題文が読み上げられませんので注意してください。

第四問パートA:選択問題(長文読上げと質疑応答)

 第四問パートAは長文読上げとそれに対する解答ですが、問題文が第三問までのそれに比べてやや長いです。また問題文の先読みから文章や選択肢の意図を推測するのがやや難しいテーマでもあります。なので、第三問までで解答の合間に余裕があれば、第四問を「予習」しておくことをお勧めします。

 また第三問同様に問題文が読み上げられませんので注意してください。

 第四問パートB:選択問題(会話文と質疑応答)

 パートBは会話文に対する質疑応答、かつ問題文が読み上げられません。対策はパートAと同様、問題文の予習をしておくことくらいでしょうか。また会話がやや長いのと複数人による会話のため、誰がどういう状況で何を発言しているのかをとらえ間違えないよう気を付けて下さい。

以上となります。

全般的な指摘会話文対策

 リスニングで気になるのが会話文です。会話文特有の(往々にして紛らわしい)表現が出てくると「アレっ?」と一瞬思考停止してしまい、聞き逃してしまうことがあるので、そうしたことがないようにしっかり対策しておきたいものです。

 当塾のおすすめはZ会出版の『英会話問題のトレーニング』が良いかと思います。このテキストは文字ベースでの会話表現全般を総おさらいできる優れものです。もし会話文表現を苦手としているようであれば、リスニングスキル以前に会話表現のバリエーションが不足している可能性が高いので、一度文字での学習に戻りきちんと確認をしておきましょう。文字で理解できない表現は耳でも絶対表現できません

 その他にも「リスニング教材の老舗」といえば、言わずもがなの英検対策教本もおススメです。センター試験レベルであれば英検2級の教本がレベル的にも適切です。英検2級のリスニング出題内容はセンター試験と同様に「会話を聞いて四択」「読上げ文章を聞いて四択」形式なので、英検2級教本を使ったリスニング対策はそのままセンター試験対策に役立てることができます。

 最後に「裏ワザ」的に紹介したい教材が「小学校の教科書」です。意外に思われるかもしれませんが、実は小学校英語はかなりレベルが高いのです。読上げられるテキストのスピードがゆっくりなことを除けば、語彙や表現は英検4級のリスニングレベルまで余裕でカバーしていますし、できる小学生は3級取得も可能な内容になっています。

 ちょっと余談ですが、家族でレストランに行くというシーンでウェイターのセリフで”What would you like for~”が紹介されているのを拝見し、小学校英語のレベルで”would”が出てくるなんて、と少し驚きでした。教科書的な説明としては

 ”What do you want for dinner?” → 「夕飯何にしたい?」母親が子供に訪ねる場合など、親しい人同士の会話

 ”What would you like for dinner?” → 「夕飯は何になさいますか?」レストランでウェイターがお客に注文を聞く場合など、フォーマルな表現

 となります。小学校英語の何が強いかと言えば、ずばり「会話」と「オーラル能力」の訓練で中学校英語よりも格段に秀でている点です。小学校で実際どの程度まで教えているかは知りませんが、上記の2文章ともに「文法的な説明は一切抜きで」紹介されているということ。驚きです。大人でも知らなければ上記2文のニュアンスの違いが分からない人もたくさんいらっしゃるはずです。

 私は、これを利用しない手はないと考えています。そして「会話文表現が苦手」という場合、おそらく小学校での英語学習につまずかれているからかもしれません(想像ですが)。文法的な知識を持ったうえで、小学校の教科書を見てみると新たな気づきや発見が意外に多いものです。興味のある方は、最新の小学校の教科書を購入されることをお勧めします。