センター試験過去問の所感と、来春の対策:その③

前々回投稿に引き続き解説です。長文読解パートとなる第五問、第六問を解説していきます。

第五問:長文読解

 センター試験英語の後半第五問、第六問はともに長文読解問題ですが、第五問は物語やエッセイ形式の割とソフトな内容の長文が出題されます。第四問の学術論文系の文章のようにかっちりと論理が組み立てられている、というよりは文章全体の内容を把握する内容のものが多く見られます。

 実際、内容も物語風の場合が多く、2018年・本試験の第五問は語り手(主人公)が宇宙人という想定、また2017年・本試験の第五問は「猫と入れ替わった筆者が、猫の立場で筆者を観察する」という想定での文章でした。主人公が人間であるか否かはともかく(笑)、問は主に「主人公の気持ち」や「主人公を取り巻く状況とその変化」にフォーカスされたものが多く、英語の問題ではあるものの現代文の読解スキルも半分含まれているような気がします。なので、現代文が大の苦手だった私は、第五問での失点が結構多い(笑)それは昔も今も変わらないことですね。

 対策としては第四問までのテクニック的なものは正直ありません。英文を丁寧に読み、コンテキストと主人公の気持ち(とその推移)を丁寧に追っていくことくらいでしょうか。ただし第四問の長文読解に対応できるスキルが備わっていれば、第五問はそれほど苦労することはないでしょう。

 と思いつつもやはり当塾は学習塾なので、何かおすすめ教材は無いかなと気になってしまったところ、いい感じの教材を発見しましたのでご紹介いたします。すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが「The Japan Times ST(現The Japan Times Alpha)」のオンライン・エッセイ(http://st.japantimes.co.jp/essay/)がパッと見たところ非常に良かったです。

 STは実は私も中学・高校の時に読んで(正確には読まされて)いました。英検対策にもなった他、高校生だった当時(1997年)は『ハリーポッターと賢者の石』がイギリスで出版された直後だったこともあり、すごい勢いで紹介されたのを覚えています(笑)。海外の時事ネタを学生向けに分かりやすく紹介している記事が多いので、自由英作文等のネタを仕入れる教材としても有効だと思います。興味があれば是非。

 また第五問で特徴的な問いが「問題文・下線部のXXXという表現はどういう意味か?」を問う出題です。一見すると語彙問題のようにも見えますが、これも第四問までと同じく「内容言換え」形式の問いです。コンテキストを正しく読めていれば解けるので、見慣れない表現だからといって焦る必要はありません。

第六問パートA:長文読解

 第六問パートAの長文は、第四問とタイプが近くかっちりとした文章が出題されますが、第四問と比べて難易度は高くなく、比較的回答しやすいかなと思います。

 近年の問いの形式は、「パラグラフ(X)によれば、以下のどれが正しいか」といった形で「パラグラフをピンポイントで指定し、その内容を問う」という傾向がはっきりとみられます。つまり、これも今まで見てきた解法と同じで「問題文を全部読むな!そのパラグラフだけを読め!」が通用します。

 そして第六問の長文は典型的なパラグラフライティングによって書かれている文章です。つまり読み手はパラグラフリーディングによって読解ができる、と言うことなんですね。ではパラグラフライティングによって書かれた文章とは一体何がいいのか?

 それはずばり「冒頭の一文を読めば、そのパラグラフの主題がわかる」内容になっているということです。皆さんは数ページにわたる長文問題が出題されたとき「読むのが面倒臭いな」「長くて難しそうだな」という感覚にとらわれてしまうことが多いのではないでしょうか?しかし「その文章を全部読む必要はない」のです!それがパラグラフリーディングであり、またパラグラフリーディングで読める文章が一般的に「読みやすい文章」であり「良い文章」だとされます。幸いなことにセンター試験で使われる英文は癖のある、難解な文章は一切出題されておらず、パラグラフリーディングの基礎にのっとって読めば確実に回答できる文章ばかりが出題されています。

 詳細は当塾のリーディング対策講座等を受講いただければありがたいですが、センター試験レベルではその必要もないでしょう。学術論文や新聞の社説、評論文など、ある仮説、学説や主張を論理的に裏付け、読者に理解してもらうための文章を書く場合、その主張を理解してもらうために必ず次のような構成で作文します。

 大づかみの構成としては、「AはCである」という主張を①「AはBである」②「BはCである」という二つのパラグラフに分解し、最後の結論部で「AはCである」という冒頭の主張を確認するという構成になっています。パラグラフライティングの最も基礎的な構成の一つです。次に「AはBである」「BはCである」という各パラグラフの主張の妥当性を裏付けるために例を三つ用意して、議論をサポートします。「AはBである」「BはCである」という各パラグラフの妥当性が裏付けられたら、最後の結論部で「ほら、やっぱりAはCだよね」と確認して議論を締めくくる、という流れです。

第六問が第四問ほど難しくない理由は、図の赤枠で囲った部分、つまり各パラグラフのメインテーマと問とが一対一で対応しており回答しやすいからです。だからこの読み方ができれば、パラグラフライティングの理屈通り冒頭の文章だけ読んで回答できるのです。何も姑息なテクニックで「最初の文章だけ読め!」と言っているわけでは決してありませんので誤解のないように。

パラグラフライティングのパターンはいくつかあり、最も分かりやすいものは、「AはBである」という主張を冒頭の文章でずばり言ってしまうパターン。またいきなり主張から入るのが唐突で違和感がある、という場合のために「問いかけ/紹介→主張」という形で一拍置くこともあります。例えば以下のような場合です。

 Some of you may have heard about the “Big Bang theory”. This theory has been one of the most controversial theory throughout the 20th century. According to scientists who support this theory,…..

 ビッグバン理論が20世紀を通じてどうだったか、をいきなり冒頭で主張するのは、専門家ならともかく我々一般の読者にとってはかなり唐突な印象があります。そのため「ビッグバン理論て、聞いたことあるよね?それなんだけど・・・」といった感じで、メインの議論のキーワードを最初に頭出し、その後メインの議論にスムーズに入っていけるような役割を”Some of you may…”の一文が果たしています。これも典型的なパラグラフライティングの手法です。

少し長くなってしまいましたが、最初の話に戻ると、「各パラグラフの主張が各問と対応している」ので、パラグラフの最初の一文を読めば大体問題が解けるようになっています。第六問に差し掛かるとそろそろ時間も無くなってくるので、精神的に少しづつ焦り始めるかもしれませんが、第六問も各問の配点が大きいので取りこぼしを防ぎたいものです。その際にこのパラグラフリーディングができれば、効率的にかつ自信をもって回答することができます。

第六問パートB:各パラグラフの内容選択

 パートBもパートAと全く同じです。むしろパートBはパラグラフリーディングに基づく理解を問う、ドンピシャの問題です。少しイレギュラーですが、パートBから解いて各パラグラフの大意を把握してからパートAに進む解法もありかもしれません。私はしませんでしたが、パートB自体がパラグラフに基づく文章全体の構成をご丁寧にまとめてくださっている個所でもあるので、パートBから解くのも有効だと思います。

 第六問は冒頭からパラグラフリーディングの有効性をしつこく説いてきましたが、センター試験レベルではともかくも、国公立の2次試験対策、特に金沢大学のように問いも回答もオール英語、かつ英作文も課されるような大学の対策としてはかなり有効です。そして何より大学入学後に英語の授業で読まされる膨大な外国語の論文、専門書を効率的に読みこなしていくための基礎スキルとなります。絶対に無駄にはならないスキルなので、今から少しづつ意識して取り組むようにしてみてください。

次回は残りのリスニング問題とその対策についての解説をしたいと思います!